野菜くずは宝物。捨てないで!
野菜を料理する時、むいた皮やヘタなどをごみ箱へ捨てていませんか?
食べられないところはポイとごみ箱に入れるのは当たり前、と思っている方も多いのでは。
私は自宅やスタジオで料理をする時、まな板のそばに大きめの鍋を用意しています。
そこへ野菜の皮やヒゲ根、固くて食べられないきのこの石づき、大きく育った葉の枯れてきたごわごわの葉先など、全ての野菜くずを入れます。玉ねぎの薄い茶色の皮や根っこも全部です。
鍋に入れた野菜くずが浸るくらいの水を加え、コトコト煮出すこと1時間ほど。
これは野菜くずだけじゃなくて、じゃがいもが丸々入っています。スープがうっすら赤いのは赤玉ねぎの皮が入っているから。
この写真を撮った日は、野菜スープをとるのと一緒にじゃがいもを茹でました。一人分のじゃがいも、一個だけをちょっと茹でたい時、火にかかっているスープ鍋を使えば一石二鳥です。
煮ている途中でまた野菜くずが出ればそこに加えて入れます。ゴミ箱には生の野菜くずは入りません。
煮出したらボウルに浅ざるをセットして漉します。 これで美味しい野菜スープの出来上がりです。
おせち作りの時にでた固くて噛み切れない燻製鮭の皮も入っていますね。
その日に使った野菜によって、毎回味も色も変わるのは楽しみ。
玉ねぎの皮が多い時はえも言われぬくらい美しい黄金色に。
ビーツや赤玉ねぎの皮が入れは赤いスープに。
そのまま飲んでも良し、あらゆる料理のベースとなります。
お茶の代わりに塩ひとつまみ入れたカップに熱々スープを注いで、仕事の合間に飲むと元気が出ます。
お味噌汁の出汁として使うと、煮干し出汁とはまた違った優しい味で肩の力が抜けるようなほっこりしたお味噌汁に。
インスタントのスープの素ではこの味は出ません。
時には豆ご飯と野菜スープだけ。
このようなシンプル極まりない食事はストレスで疲れた心を鎮め、気持ちを落ち着かせてくれます。
野菜くずスープはイタリア家庭料理の定番
皮や根っこまで安心して食べられるお野菜を選ぶことも大切ですね。精魂込めて育てられた野菜は、余すことなくいただきたい。
イタリアウンブリアに住む大人気シェフの家庭の台所では、使い込んだストウブの上にいつもこのスープの鍋があって、ちょっと野菜のブロードが欲しい時はそこからお玉ですくって料理に加えています。
一般の家庭でもこれは普通のこと。田舎町のお昼時にはこの野菜スープの香りが窓の外にまで流れてきて、そこにいることに幸せを感じます。昔からやっていることには教えられることが多いです。
畑の贈り物を無駄にしないで全ての部分を美味しくいただく、そこに感謝があるからこそ生まれた野菜のスープ。
それが美味しいと思える自分を作っておくことは自分の責任かな、と思います。