梅雨(つゆ) 文字通り『梅しごと』の季節です。
6月半ばのラバーゼの新商品の撮影(こちらは近々ご案内しますね)をした際、スタジオには梅の実が熟して良い香りが漂っていました。さて、今年の梅しごとはどんな具合でしょう?
有元:もうすぐ梅雨明けですね。梅干しを作っている方は梅雨明けを今か今かと待つ頃です。
本来であれば梅雨明けの3日間はカラッと晴れて暑い日が続きます。でも気候のおかしい近年ではその慣例がくずれさっていますが・・・
写真は白梅酢が上がってきたところです。既に赤紫蘇を加えて赤梅酢が出来上がり、ともかく梅雨が明けて晴れる日が続いたら、漬けた梅を3日間干す作業が待っています。
干す道具、
私は戸隠のザルを使っています。ザルにも色々ありますが梅を干すには穴の大きなザル、もちろん梅の実が落ちないくらいの穴の空いたザルが望ましいです。上下から風が通るので早く乾きしょっちゅうひっくり返す作業を楽にすることができます。2キロの梅が1枚のザルにちょうど収まるサイズです。
「赤い梅干しを作りたいけれど色がうまく出ない、黒っぽくなる」という声をよく聞きます。
黒くなる原因は紫蘇のあくではないかと思い、私はあく出しを何度も繰り返すことにしました。
あく出しは、紫蘇の葉を塩で揉んで水洗いをする作業です。紫蘇はボロボロになりそうですが、手加減しながら6回くらいすると鮮やかな美しい赤色になります。
あとは温度管理で色を美しく保つことができます。出来上がった梅干しは常温において良いものですが暑いところに置くと色がどんどん褪せて茶色くなります。これはこれで塩がこなれて美味しいです。赤色を美しく保ちたいときは涼しい場所、私は冷蔵庫に入れます。
冷えると塩のこなれが遅くなりますが色は保ちます。こなれた塩味か色味か、どちらをとるか、ですね。半々にして常温と冷蔵庫に分けて使い分けるのも手です。
昨年
葉山での梅干し
梅雨明けと同時に猛暑が始まります。夏の食卓には特に糠漬けが美味しく感じますよね。
私は梅シロップを作る前の青梅を数個糠床に入れてみました。
「糠床をおいしくするためも途中で加えるもの」は、他にもいろいろありますよね?
有元:糠床に加える物、私は山椒の実や葉っぱ、生姜、粉がらし、時にはニンニクも。これらは入れなくてはならない物ではなくて好みで入れても入れなくても。
それから今時は発酵も盛んになる時期なので塩鮭の頭をこんがり焼いたものを加えます。糠床が元気であれば1日目で鮭の頭はバラバラになり、3日もすれば影も形もなくなります。糠床の元気な菌が全部分解してしまい、糠床がそれはそれは美味しくなります。糠床は各自の家で個性が出ます。自分の好みに仕上げていくのが糠床です。世の中にふたつと同じものはありません。だから面白いのですね。
胡瓜やナス、瓜、新生姜、と夏はぬか漬けに適した野菜がいっぱい。糠漬け好き、としては嬉しい季節です。ナスは糠床が元気であればミョウバンなど使わずとも美しい茄子紺色に仕上がります。漬ける時、塩揉みをして茄子の頭から切り込みを入れ糠床を挟むとより早く美味しく漬かります。今時ですと半日から1日で食べごろになります。食べる直前に出して水洗いしヘタの方から頭に向かってギュウっと絞ると茄子紺色がより鮮やかで歯応えが良くなります。糠床の元気がないときは茄子は綺麗には浸かりません。
冬の間は糠床でどんなものを漬けますか?
有元:冬は大根、にんじん、キャベツなどを漬けます。冬の間も楽しめますよ。
夏も冬も古漬けになったら刻んで塩出しをして晒しの布巾でギュッと絞り、おろし生姜を混ぜて食べます。お茶漬けに最高ですよ。