幻となった逸品
フレキシブルヘラ

ラバーゼの使いやすいフレキシブルヘラ

ものづくりって難しい。

ラバーゼで開発を担ってからそう思わせられることが多々あります。

たとえば

「良いもの」を作ればその製品はずっと生き残る=生産がずっと続く

これって当たり前のことのように思えませんか?

他にどこにもない「良いもの」があれば欲しいという人は絶えず、ずっと作り続けることもできる。

それは当然のことだと。

でも実際はそうは簡単ではありません。

え、それってどういうこと?

と思うでしょう。以前の私もそう思いました。

欲しいという人がたくさんいても作り続けられないことはあるんです。

そのおはなしを一つします。

ラバーゼが使い心地や品質にこだわって作るあまり、幻の逸品となってしまったラバーゼフレキシブルヘラのおはなしです。

目立たないけど頼りになるヘラ!ラバーゼのロゴは裏に控えめに刻印

これを読んでいる方で、これ持ってる、使っている、という方がいたら、

どうかこのヘラを大事にして、たくさん使って活躍させて、とお伝えしたいです。

まずこのフレキシブルヘラを使ったことのある人は、そのしなり具合の丁度良さ、使い心地のよさに感動されます。

ひょいっとすくってひょいっと落とす

フライパンの中身を返し

ケーキにクリームを塗ったり

型から中身を傷つけないようにそーっと剥がしたり

目立たない存在ではあるけれど料理をする者にとって、なくてはならない道具です。

ラバーゼで作る前から、ずっとこの理想のヘラを国内外のキッチン道具店を探し回っていましたが、似て非なる物ばかり。これらの条件を満たすヘラは世界中どこにもありませんでした。

ないものは作るしかない、と新潟燕三条で出来上がったのがこのヘラでした。

しゃきーんと並ぶ大のお気に入りのフレキシブルヘラ
用途それぞれの大中小3タイプ

まさに意のままに使える、「使えばわかる」逸品です。

どうしてこんなに使いやすいのでしょう?

その秘密は…

ラバーゼフレキシブルヘラのこだわり

  • へらの根元は強く厚く、先端にいくにつれて薄くなること
  • フレキシブル性(しなり)は強すぎず弱すぎず、適度であること
  • 先端は可能な限り薄く、しかも安全で手を切らないこと
  • フライパンなどの縁に柄が当たらないこと

私が使いやすいと思うこの条件を満たすには、包丁の作り方で作るしかなく、製作を信頼の厚い包丁メーカーさんに依頼しました。

実は、この作り方は品質の高い包丁と同じですので大変な手間がかかります。さらにこの十年の間で材料費や生産コストも軒並み上がり、うち明ければ2〜3倍の価格がついても当然と言える商品に。

良いものにはそれなりの対価を払うのは当然といえますが、適正価格というのも重要なこと。ヘラに包丁と同じような価格をつけるのはやはり無理。

生産者様に負担をかけて従来の価格での販売は困難ですので、とても残念ではありますが生産終了が決まりました。

ものづくりってほんとうに難しい!

ラバーゼのフレキシブルヘラ
最後の勇姿をみてやってください

そろそろどこのお店でも在庫が底をつき、「欲しいのにどこにもない」というお問い合わせをいただきます。

心苦しいことではありますが、いくら良い商品でも価格が生産者さんを圧迫するようでは作り続けることはできません。

すでにお持ちの方は本当にラッキー!どうか大切に長くお使いくださいね。

以前の私だったら「まあ、自分が使う分はあるからいいわ。」と特に気に留めなかったと思います。

しかし、ラバーゼの愛用者さんの声や、生産者さんの声を直にたくさん聞けるようになった今では、そんな自分勝手なことは言っていられないと気がつきました。

ここへきて重くない鉄フライパンの良さに気がついた人、そして鉄のフライパンでの調理には金属のヘラが必要と気がついた人がたくさんおられ、とても嬉しいことです。

それなのに、どうしても必要な「使いやすいヘラ」がないのは困る…。なんとか理想のヘラをまた作れるように、知恵を絞りださなくては。

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