もうすぐ母の日ですね。
今年の母の日 / ゴールデンウィークは実際に会いに行かないことが1番の親想い、ということになるでしょうか。
ロックダウンになってからというものの、ニュースばかり見ていると気も滅入るので、昔の写真や子供時代に観た映画、昭和の音楽など懐かしいアーカイブをみる機会が増えています。
6年前に伊勢丹で開催された母の日イベントの時に作ったビデオを掘り出してみました。(この記事の一番下に貼ってあります。)
この中に、幻のラバーゼボウル第一号が出てくるんです。
これです、これ!
キャプションにも書いてありますが、有元が口頭とラフなスケッチで伝えたイメージを、職人さんが手でコンコンと打ちながら持ち手の角度を作ったプロトタイプ。
インドの片田舎で料理上手のお母さんが使っていそうな、味のある姿です。
今でこそ、縁を巻き込んでないボウルは巷に出回っていますが、
この当時、ステンレス製品を知り尽くした燕三条のメーカーさん達にとっても前例のないボウルやざるの作り方で、革新的だったと思います。
ボン!ボン!とプレス機でどんどん作る元来のボウルではなく、へら絞りという方法で一つ一つ作ることになり、
底は安定感を持たせて厚く、側面は軽さを出すために薄く、縁は手を切らないように厚く残す。
ボウルにここまで手間をかけるのか?と有元以外首を傾げながらのスタートだったと聞きます。
有元の手にしっくりくるような縁の角度が決まるまで、東京と新潟の間を何度か往復したこのボウル。
高知に移り住んだ有元の次女、くるみの家で今でも使われています。
素朴な風合いのボウルが、くるみの作るモロッコ料理やスパイスの効いたエスニック料理に雰囲気がぴったり合って、20年近く経つ今も大事に使われているんですよと、これを叩いて作ってくれた職人さんに伝えたい…!
ラバーゼを愛用している方からよく聞くのが、「使い心地が良いから娘にも送ってあげようと思って。」
と、家族皆さんで使ってくださっているお話。本当に嬉しいことです。
丈夫で長持ちするし、お手入れ次第でずっときれいに使えるので、「お下がりの水切りかご」という、ラバーゼ以前には聞いたこともないようなキーワードも飛び出してきます。
そうそう、日本の製品を見た中国の方の素直な意見を聞いて、なるほど!と思うことがありました。
「日本の製品はやたら丈夫に出来ていてビジネスセンスの無さに驚く。ある程度使ったら壊れるように作らないと、また買ってもらえない。何十年も持つように作るなんて愚か。」
確かにビジネスのことだけ考えたら、この中国の方の感覚は正解なのかもしれません。
でもそんな世界にしたくないですね!
親から子へ。ときには子から親へ。
一生モノの良質なもの大事に受け継ぐ、使い続ける。そういう製品を作っていることを誇りに思います。